初代Mリーガー松本のベストバランス麻雀【書評】

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本記事は麻雀書の書評です。麻雀が好きな方、また麻雀プロの松本吉弘プロのファンの方向けの内容になります。

結論からいうと、この本は現在の麻雀において「高い勝率」をあげる戦い方がわかりやすく説明されていると思います。麻雀が強くなりたい人には強くおすすめできます。

また、松本プロの自伝的な内容も3部構成で書かれています。麻雀に詳しくなくても松本プロのファンブックとしても手にとりやすい内容になっています。

松本プロがタイトル戦優勝やMリーグ活躍など、トッププレイヤーとしての経験と実績に基づいたその解説はとても勉強になります。

この本を読むことで麻雀が強くなること、また松本プロの人柄について理解が深まることは間違いありません。

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おすすめ度

・麻雀が強くなりたい人:★★★★★

麻雀が強くなりたい人には無条件でおすすめの★5です。また麻雀に詳しくなくても松本プロのファンであれば★4のおすすめ度は十分にあります。

本の概要

・麻雀プロの松本吉弘プロ初の麻雀戦術書
・麻雀の「攻撃」「鳴きと守備」「読み」についての戦術論
・松本プロが「麻雀プロになるまで」と「麻雀プロになってから」の自伝

どんな人におすすめか

麻雀の初心者

全部覚える必要はありません。内容のうちひとつを覚えるだけでも今よりもかなり強くなります。

麻雀の中級者

覚えた分だけ強くなります。いま最新の戦術が多く、新しく得る知識がとても多いです。

麻雀の上級者

既に知っていることもあると思われます。しかし新しい戦術をひとつだけでも知ることができれば、上級者同士の対局では相手と差をつけたり、差を埋めたりできます。

松本プロのファン(麻雀できなくてOK)

松本プロのかっこよさを堪能できます。また松本プロの生い立ちを知ることができます。

注意点

麻雀のルールを覚える入門書にはあまり適してはいません。

感想

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ほぼ全ての項目が数ページにまとめられていて、読み進めやすく感じました。少しずつ読むことも一気に読むこともできます。

本の各章から、特に参考になった内容を紹介していきます。

攻撃のベストバランス

特に参考になったのは「絞りと手組み」の項目。

本文から引用すると

「ダブ東などの鳴かれたくない牌ほど1巡目に切る。最近ではこのような考え方が一般的になりつつある」

との話の展開から、その根拠を解説しています。絞ることで自分と鳴きたい相手のふたりが不利になり、残りのふたりが漁夫の利を得ることがその理由です。

一方で、絞ることを全くしないわけではなく、絞ることを考えるケースについても例をあげて解説されていて、とても参考になりました。

以前は相手が鳴きたい牌を絞るのがシブい打ち手、という考え方が主流の頃がありました。しかしいまは考え方の主流が移り変わっていることがよくわかります。

鳴きと守備のベストバランス

なるほどと思ったのは「押し引きのシステム化」の項目。

本文から引用すると

「麻雀が強いと言われる人は皆、基本的に押し引きをシステム化した上で、状況によって例外を鑑みながら使い分けをしている。」

システムの例をあげてみると

・良形満貫テンパイは押す
・二軒リーチに危険牌を持ったイーシャンテンは無条件オリ

というように、自分の打ち方に合ったシステムを予め考えて準備しておきます。そしてこのシステム化して準備して覚えておくことのメリットを解説しています。

ひとつは対戦中に考えることを少しでも減らして、その分余裕を増やしミスを減らすこと。もうひとつは「なんとなく勝負」「なんとなくオリ」という、なんとなく選びその結果痛い目をみることを防ぐこと。

将棋において、決まった形を予め調べて対応を準備しておく「定跡」の研究に通じるものがあります。麻雀でも事前準備が大切ということがわかります。

いままで頭でなんとなく考えていたことを、このように文章で見ることでシステム化の大切さがよく理解できました。

読みのベストバランス

目を惹かれたのは「速さを読む」の項目。

自分と相手のアガリまでの速さを把握した上で、互角以上の勝負ができるかを比較する。これはいまの麻雀で勝つために重要な考え方のひとつではないかと感じています。

この「速さを読む」ができると自分が攻めるか、守るかの選択の大きな判断材料になります。攻めか守りかという押し引きのバランスは、強い人は必ず習得している感覚、とも言われています。

相手の捨て牌からアガリ到達までの速さを読み、いくつかのケースを示して解説しています。

内容を全てを把握できなくても、「相手の速さを読む」ことを意識しているだけでも成績に差が出るように感じます。

松本プロの自伝

松本のプロの生い立ちからプロになってからの活躍までを知ることができました。

しつけが厳しい家庭に育ち、麻雀プロの道を進むにあたっての悩みや苦労があり、普段のにこやかな表情からは見えてこないことが詳しく書かれています。いままで以上に松本プロのファンになりました。

またプロはその競技に強いだけではだめで「自分を魅せる」ことが大切と考えて活動しているプロ意識の高さに感銘を受けました。

本の表紙、松本プロの写真はいかつい表情をしています。自伝を読むことでこの表情にもしっかりとした意味があることが、なるほどわかります。

その他にもプロになってからのエピソードが多数あり、松本プロのことをより深く知ることができます。

まとめ

松本吉弘プロによる、いま最新の麻雀戦術の解説書。読みやすくて強くなる。おうちでラクラク麻雀ストレッチ。

麻雀が好きな方、強くなりたい方はぜひ読んでみてください。また松本プロのファンの方にも読んでいただきたいです。